フランス産小麦 VS 国産小麦

バゲットに使用するのは小麦粉、イースト、モルトシロップ、塩、水ですが、主材料である小麦粉の種類はたくさんあって全ての小麦粉を試すのはとてもとても。輸入小麦と国産小麦全部で何種類くらいあるのだろうか。ヴァンテアンでは江別製粉のTYPE ERっていう小麦を使ってます。開店以前はカナダやオーストラリア、フランスの小麦を使ってたこともありますが、結局今は北海道産に落ち着いてます。フランス産じゃないと本物のバゲットはできないって言ってはいないけどそうアピールしているお店は結構ありますね。有名店シニフィアンシニフィエ(この名前聞いたときはこんな言語学用語よく名前にしたなぁとびっくりしましたが、フランス言語学はトカゲくんの専門分野でもあるので今度説明してもらうことにしましょう)では国産小麦100%のバゲットもありますね。どんな理由で使ってるのかはわかりませんが、きっとおいしいからでしょうね(当たり前かぁ)。私たるわが北海道産小麦を使う理由は4つ。
1つめは、TYPE ERがTYPE65に近いやや粗い雑味のある小麦だから。発酵を適度に促進できて、複雑な濃い味になります。簡単に言えば料理によく合う味になるってことです。トラディショナルな味ともいえます。
2つめは、安全性を考慮して。これは別に国産だから安全だと日本産神話のように言っているわけではなく、色々な情報が早く正確に得られやすいという意味です。生産者にもたどり着き易く、直接話を聞けるというメリットもあります。
3つめは、小麦の状態が輸入小麦よりよいということ。水分の含有率が高くて、無理な品質の劣化がなく新鮮であるということです。輸出用の小麦は長い旅路に耐えられるよう水分を減らしてますから、その分決め手になる味を欠く小麦になっているような気がします。
4つめは、エコロジーであること。輸送距離が短ければそれだけエコになります。グローバルな視点からの地産地消はパン屋であってもこれからは必要です。神奈川や北海道で自ら小麦を栽培しパンを作っている方々がいらっしゃいますが、究極のエコロジストですね。それだけで、そういうパンは買う価値があるんじゃないですかね。
色々言ってますが、自分がこうしたいと思うおいしい味になればいいんです。しかも安全で。エコで。